口の中の甘さと、ビニールが溶けたような匂い、そしてどこがと言う事さえ分からない激しい痛み。
瞳の向きとは関係なく、激しく点滅を繰り返す幾何学模様が動き回っているのが見える。
夢よりも少し現実的な実感を伴って、少し前の事が記憶によみがえり始めた。
広く長い階段状の境界から運動場を眺めながら、なんとなく友達とそこにいた。
厚い曇り空の風は冷たく吹く方向が急に変わり、急に日が差したりしていた。
降り出した雨は豪雨の予感がしたので、グラウンドの向こう側に置いてある鞄を取りに行く。
雨は土の色を黒くして行く。此方から其方へとものすごい早さで。
視角の隅に明るい地面が見えた。脇に植えられている木の下はまだあまり濡れていない。
あそこを走れば雨にぬれずに済むかもしれないと考えた。
所まで思い出したら、初めはゆっくり、そして次第に速度を増して記憶が逆再生し、自分がそこにいた理由、誰とそこにいたのか、そこに至るまでの過程、それより前の過程、その時の思いの全て・・・
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