2015/12/22

呆阿津怒哀声音頭


 安売り商品が、安いと言う事で欲しくなるのはつまり、それを買う事が出来るという選択の自由を与えられるからだと思う。突然道が開ける訳だから。

 今僕の目にしている状況もそれににている。夜勤明けで家に帰る道すがら、いつも閉まっているフェンスの扉が開いているのを目にした。その、道から急角度で登る丘の道はいつも気になると言えば気になっていたけど、入れない以上気にしても仕方がないと思っていたから気に留めてはいなかった。今、そこに入れる状況で迷う。

 雑木林然としたそこの道は時たま人工的な手入れがされているようで、前に刈られた下生えが伸びて、固い切り口が皆こちらを向いている。
帰りがけに寄った酒屋のビニール袋が、枝に引っかかり破れて、中のワインとビールの瓶が地面に落ちた。手で持って行くのも嫌だから、この場で飲んでしまおうか?
 飲むならビールの方だ。栓抜きが無くても王冠を開ける方法を知っているから。(コルク抜き無しでコルクを抜く方法は知らない)

 道の先は明るいから、丘の上にでも出るのだろうか?
 来てみると、丘はそこから垂直に削り取られていて、下は公園の小さな動物飼育施設になっていた。アライグマが居て子供が数人写生をしている。今の時間、授業の一環だろうか?

 ふと、子供の一人と目が合った。すぐに画版に目を落とし作業に戻った彼は、アライグマ飼育施設の上に立つ右手と左手に酒瓶を持った僕を絵の中に描き加えただろうか。

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