暑い日だ。麦わら帽子の網目から、幾つもの太陽が見える。額にたまった汗がふいに流れて目に入る。
磁気コンパスを見てカメラを向ける方向を定める。
今は午前10時だから、真東から方角にして60度南に振った方向だ。雲台を回し、カメラの電子水準器を頼りに水平垂直をちょうど0度に出す。
目の前には、穂が出来始めた水田が広がる。本当に広い水田で、ここで我々の食糧が生産されているのだと実感する。しかし、視界を埋めるのは本当に水田ばかり。その向こうには海が広がる。水平線が見える。
目の前にはアコースティックギターが捨てられている。水が枯れた水路の中に、それは有る。
白い表面。サウンドホールが二つある。弦が二本切れて無くなっている。
このギターの持ち主は、なぜこんなところに楽器を捨てたのだろう。ギターを捨てるにはどんな事情が有ったのだろう。もしかすると、このギターの持ち主も死んでこの辺りに居るのではないか。
近くの防空壕跡の奥に、骨が有る。その肉体が骨だけになるのにはそう時間がかからなかった。
虫が食ったのだ。バクテリアが分解したのだ。2か月よりも短い。まるで夏休みだ。
しかし、永遠に続く夏休み。
*ブログエントリーのタイトルはコノゲンジョウの楽曲より。
文章および写真とは無関係です。しかし曲が好きでたまに聴いてます。
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